サレ妻大離婚記 第24話

実録

電話

前回、夫は「支援」という言葉で、払うべきお金を“施し”に変えました。

結婚して以来、家のお金を回していたのはわたしでした。夫の仕事が軌道にのるまで、夫をわたしの扶養に入れて、家賃も光熱費も食費も、生活のほぼすべてをわたしが負担していました。

自分のやりたいことを形にしていく夫を尊敬していたし、心から応援していたから、わたしが支えられればと思っていたのです。

別居して1週間ほど過ぎた頃、わたしが今後のことを話したいと伝えると、夫から電話がかかってきました。

「せっかく電話してやってるのに」

電話で夫が話したのは、ほとんどが仕事の愚痴、それも、このような状況になったことでいかに大変なことになっているか、という話でした。自身の報酬はまだ一銭も出ない。ひとりでは手が回らない。新山さんにも、一銭も払えていない。

あとで知ったことですが、この数日前、夫は新山さんに8万円振り込んでいました。 一銭も払えてないという嘘もさることながら、1カ月休みなく、朝から晩まで毎日拘束して8万円、一体どういう計算なのだろうか。

さらに前述の通り、この数日前に、夫が新山さんと一緒にいるところに友人が接触してくれていました。別の筋からも、毎日新山さんと楽しそうにしてるという情報を得ていたので、ひとりで必死に働いているというのも嘘だとわかっていましたが、あえてこう聞きました。

わたし
ひとりでは手が回らないのに、新山さんには頼めなくて大変ってことね?
元夫
オンラインでは投げてる。ただ、ひとりでは動きに限界があって、できてないことがある

以前、新山さんはワーキングホリデーに行く予定=だから一時的な関係なのだ、という言い訳めいた説明を受けたことがあったので、聞いてみました。

わたし
新山さん、ワーホリは行くの? いつ行くとか聞いてないの? 何にせよ、人を探さないといけないよね
元夫
してるよ、ちゃんとやってるんだ、こっちは! すぐ見つかるわけじゃない。分かりきったことを聞かれると、むかつくんだよ! せっかく電話してやってるのに!

せっかく電話してやってるのに。

「動き、見てるんだから」

夫が落ち着いたあと、わたしは聞きました。

わたし
ごはん、ちゃんと食べてる?
元夫
食べてるよ。知ってるよね? 動き、見てるんだから
わたし
動きを見てたら、なんでごはん食べてるかわかるの?
元夫
わかるでしょ。実家に行ってるのも、知ってるんだから

位置情報をオフにしたりオンにしたり、さりげなくごまかしてるのも知ってるよ。

わたし
お義父さんお義母さんは元気?
元夫
元気。孫に会いたいと言ってる
わたし
お義母さん、珍しくしばらく子どもの写真アプリ見てない時があったね
元夫
そりゃ見ないよね。誰かが更新しないからね。人にはねこの写真を送らせといて
わたし
そんな言い方しないで。わたしはねこの様子が気になるから毎日様子を聞くし、写真を送ってと頼んでる。あなたはこの1週間、子どもの写真どころか、元気かと聞いてきたことすらないよね。そんな状況で、わたしのほうから写真を送ることを求められるの?
元夫
送ってと言われないと送らないのか。今まではそうじゃなかったのに、いきなりやり方を変えるのはおかしいだろ!

もはや意味が不明だ。

わたし
そもそも今、これまでと状況が違うよね。のんきに写真をシェアするような状況じゃないよね
元夫
あーあー、わかったわかった

「何も思ってない」

少しの沈黙のあと、わたしは聞いてみました。

わたし
今の状況のこと、わたしのこと、どう思ってる?
元夫
あなたのことは、何も思ってない。これからのことは、色々考えてる。お金のこととか

夫は仕事でもプライベートでもすべてわたしの家族カードで支払いをしていて、それはわたしの口座から引き落とされるので、利用した金額を振り込んでもらっていました。それも、期日までに払ってくれることの方が少なかったけれど。

元夫
十日の引き落とし分までは払う。でも、今月末の支払いはわからない
元夫
悪いけど、車検代も家族カードで切ったから、それは分割にしておいてほしい。それ以外は、家賃とか光熱費とか交際費とか、あなたの食費とかだけだから大丈夫

あなたの食費?

わたし
わたし、食費どころかお金は一切使ってない。今だって両親がすべて出してくれてる。
元夫
使ってないのはわかってる。ただ、項目をあげただけだ

別居前も家族の食費以外、本当にわたしは一切お金を使っていませんでした。別居した日、母がわたしの財布を見て言葉を失っていました。お札が一枚も入っていなかったからです。普段からキャッシュレスで支払いをしていたというのもあります。でも、正直なところ、あのころはそれを抜きにしてもお金にかなり困っていて、必死にやりくりしていました。

ちなみに、この時の夫の車検代は約20万。家族に散々苦しい思いをさせ続けながら、自分は分不相応な車に乗り、新山さんと遊んでいる夫。

一連の出来事の中でわたしがショックだったのは、不倫そのものというよりも、夫が平気でこんな非道なことをしていたこと、そして、それを改めることなく続けたことでした。夫がそういう人間だったこと。わたしと子どもが、そんなふうに扱われていたこと。それが、何よりも辛く、悲しかった。

1万円

電話のあいだ、夫は一度も、わたしの体調も子どもの様子も聞きませんでした。

元夫
悪いけど、もう切っていいかな。まだ何かあるなら、明日にでもして

この日はこれで終わりました。そして翌日。

元夫
1万足して振り込んだ」「次回も1万足して振り込む

“あなたの食費”の分でしょうか。わたしは何も聞かず、「ありがとう。」と返信しました。

次回に続きます。

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