サレ妻大離婚記 第5話
実録「作業してくる」と出かけて行った夫の行き先

前回書いたように、様々な記録が次々と違和感を浮かび上がらせていきました。
そして、疑いを確信に変えたのは——夫自身が「いいよ」と共有してくれた、GPSでした。
GPSを、夫は意外なほどあっさり共有してくれた
この頃、わたしは定期的に夫と「話し合いの時間」を作っていました。ピリピリとした夫婦関係を、子どものために何とか立て直そうとわたしが提案して続けていたことでした。その中で、わたしはこう切り出しました。

スマホの「探す」機能で、お互いの居場所を共有するあれです。会社勤めではない夫はイレギュラーな動きが多いため、元々オンにしていました。それがいつからかオフになっていたのです。居場所を知られてはまずいことがあり、故意にオフにしたのでしょう。なのでてっきり渋られると思いましたが、夫は「え、オフになってた?」と言いながら、あっさりとその場でオンにしてくれたのです。
——やましいことがあるなら、嫌がるはずだよね?そう思いたい自分も、まだどこかにいました。
「事務所で作業してくる」の、ほんとうの行き先
ある日の昼すぎ、夫はいつものように「事務所で作業してくる」と言って出かけていきました。
わたしはGPSの画面を開きました。地図上に表示された点は——事務所へ向かうことはありませんでした。まったく別方面のとある住宅街の民家へたどり着き、そこで長時間止まっていました。お昼の早い時間から、何時間も。

その場所は、新山さんが住んでいる街でした。
地図の中の小さな点を見つめながら、心臓が音を立てて動き、スマホを持つ手は震えていました。不思議と涙は出ず、「やっぱりそうだったんだ」という苦しさと共に、わたしが必死に子どもを守っている間に、この人は一体何をしてるんだろう?と脱力したのを覚えています。
仕事はまったくしていなかった
その日の夫の足取りには、続きがありました。その民家に何時間も留まったあと、点が向かったのは近くのショッピングモール。それからモールの先にあるマクドナルドへ。そしてまた彼女の家に戻り——夕方、夫は何食わぬ顔で「ただいま、今日も疲れた」と帰ってきました。
一日をたどって、はっきりしたことがあります。「仕事」をしていない。 「事務所で作業してくる」と出た夫は、朝から晩まで、ただ彼女と過ごし、買い物をして、ごはんを食べて、遊んでいただけでした。
その間わたしは、まだ1歳の子どもとふたりで、ひたすら家で過ごしていました。コロナ禍の緊急事態宣言の元、近所の児童館ですら閉鎖されていた。行く場所もなく、感染への恐怖もあり、おまけに家計も苦しかった。そんな環境で、はじめての育児と文字通りひとりで向き合い戦っていた。「今が踏ん張りどきだから」と言う夫の言葉を信じて、ひたすら。——元夫の“仕事”の正体は、こんなにも残酷なものでした。
後日、この日の領収書も見つかりました。その中にあった、サーティワンのアイス2つ。一体どんな味がしたんだろう。
いつも通りを装いながら
その日は感情を押し殺して必死に明るく振る舞いました。
この夜、珍しく夫が子どもをお風呂に入れてくれると言いましたが、わたしはとてもとても嫌でした。そんな汚い手で、子どもに触れてほしくない。心底嫌悪感を感じましたが、いまはまだ表に出してはいけない。やっと「悪いけど先によく身体を洗って。」と伝えると、夫は「え、俺臭い?!」と言って自分の匂いを確かめていました。
画面の中で動く点が、教えてくれたこと
GPSが突きつけたのは、単なる夫の居場所ではありませんでした。「仕事で忙しい」という日々がまるごと嘘だったという事実でした。
つらい確認作業でした。でも、目をそらさずに見たからこそ、わたしは次に進む覚悟を決められたのだと思います。
もしあなたが、同じように「確かめたい」と思っているなら、ひとつだけ。位置情報の共有や記録は、相手の同意の有無や状況によって、扱いに注意が必要な場面があります。 自分で抱え込んで判断に迷うときは、早い段階で探偵や弁護士の無料相談を頼ってください。何が有効な証拠になるのか、どう集めれば自分を守れるのか——プロは、当時のわたしが欲しかった答えを持っています。
次の記事では、その翌日のことを書きます。「スタッフを送迎しているだけ」と言い張る夫を、今度はこの目で確かめようと、GPSを頼りに車で追いかけた一日です。