実録

GPSの先にあった、サーティワンのアイス2つ

前回書いたように、記録は次々と「仕事」という言葉の嘘を暴いていきました。

でも、いちばん静かに、いちばん深くこたえたのは——夫自身が「いいよ」と共有してくれた、GPSの画面でした。

GPSを、夫は意外なほどあっさり共有してくれた

この頃、わたしは定期的に夫と「話し合いの時間」を作っていました。その中で、わたしはこう切り出しました。

わたし
「所在がわからなくて連絡がつかないことがあるから、嫌じゃなければ、位置情報の共有をオンにしてもらえないかな」

スマホの「探す」機能で、お互いの居場所を共有するあれです。てっきり渋られると思っていました。でも夫は、意外なほどあっさり「いいよ」と承諾し、その場でオンにしてくれたのです。

——やましいことがあるなら、嫌がるはずなのに。そう思いたい自分も、まだどこかにいました。

「事務所で作業してくる」の、ほんとうの行き先

ある日の昼すぎ、夫は「事務所で作業してくる」と言って出かけていきました。

なんとなく、わたしはGPSの画面を開きました。そこに表示された点は——事務所ではなく、まったく別の場所で、長い時間、止まっていました。

あとから分かったその場所は、彼女の家でした。お昼の早い時間から、何時間も。

画面の中の小さな点を見つめながら、わたしは不思議なくらい冷静でした。涙よりも先に、「ああ、やっぱり」という、底が抜けるような納得が来たのを覚えています。

サーティワンのアイス、2つ

その日の夫の足取りには、続きがありました。

彼女の家を出たあと、点はショッピングモールへ移動していました。そして後日、その時間帯の領収書を見て、わたしは知ることになります。

サーティワンアイスクリーム。アイス、2つ。

2つ。

ひとつは、彼女の分。

なんてことのない、家族なら誰でも買うようなアイスです。でも、わたしと子どもがいる家に「作業」と言って出た人が、別の人とアイスを2つ買って分け合っている。その情景が頭に浮かんだとき、何百ページの証拠よりも、この「アイス2つ」がいちばん胸に刺さりました。

そのあと点はファストフード店に立ち寄り、また彼女の家のそばを通って、何食わぬ顔で帰宅しました。「ただいま、疲れた」と言って。

画面の中で動く点が、教えてくれたこと

GPSが見せたのは、夫の居場所だけではありませんでした。わたしがどれだけ、ていねいに嘘をつかれていたかということでした。

つらい確認作業でした。でも、目をそらさずに見たからこそ、わたしは次に進む覚悟を決められたのだと思います。

もしあなたが、同じように「確かめたい」と思っているなら、ひとつだけ。位置情報の共有や記録は、相手の同意の有無や状況によって、扱いに注意が必要な場面があります。 自分で抱え込んで判断に迷うときは、早い段階で探偵や弁護士の無料相談を頼ってください。何が有効な証拠になるのか、どう集めれば自分を守れるのか——プロは、当時のわたしが欲しかった答えを持っています。

次の記事では、わたしがついに夫を問い詰めた日のことを書きます。「疑うお前が狂っている」と言われた、あの日のことを。

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