サレ妻大離婚記 第11話
実録嘘は、細部に宿る

前回、菓子折りを持って事務所へ。二人の世界を見せつけられて、わたしは帰りました。夫は「晩御飯は家で食べる」と言い、夫の実家に預けていた子どもを迎えに行った後、帰ってきました。
そして、その夜。わたしたちは昼間のことを話しました。わたしが事務所で見て、感じたことを、ひとつずつ確かめていきました。
「何も言ってない」から、「怖かったです」に






そんなのんきな。



さっき「何も言ってない」と言った人の口から、新山さんのセリフが次々に出てきます。







わたしマスクしてたんだけど。


「何も言ってない」から、たった数分でここまで話が変化しました。
敬語という、ほころび
聞いていて、もうひとつ、引っかかることがありました。夫が新山さんのセリフを再現するとき、全部敬語だったことです。でも、実際は彼女は夫に対し敬語を使っていませんでした。







新山さんは、わたしにはきちんと敬語を使ったんです。タメ口じゃなかった。彼女は、敬語が話せないわけじゃない。夫にだけタメ口なんです。
「妻が来る」と、言った?

「あぁいう会話」。——GPSのことで1時間6分わたしを怒鳴りつけた、あの会話です。やっぱりそれを彼女に話していたということです。






聞いてもいないことに、先回りして答える夫。



——“何で来たんですか”。“何しに来たんですか”。“何で来るんですか”。口にするたびに、少しずつ形が変わる。似ているけれど、ニュアンスが全く異なるセリフです。


どういう嘘?必死だな。






「必要ないよね、その話」
もうひとつ。夫は新山さんに、わたしたち夫婦がうまくいっていないことを話していました。










ただのスタッフに、夫婦の不仲は話しません。話す必要がないからです。
そこで、子どもがぐずり始めました。話し合いはいったん中断。子どもを寝かしつけて、また再開しました。
嘘は、細部に出る(同じような状況の人へ)
堂々と嘘をつかれると、意外とその場では見抜けないことも多いです。
でも、小さなところで必ず綻びます。一度「何も言ってない」と言っても、問い詰めると隠しきれなくなる。同じ場面のセリフなのに、口にするたびに形を変える。タメ口の話し方を、敬語に直してしまう。どれも、些細なことです。でも、それが嘘を証明していました。
もしいま、あなたが「気にしすぎかな」と思っている小さな違和感があるなら。話し方、言い直し、辻褄の合わないひとこと。——気にしすぎではないかもしれません。長く一緒にいた人の不自然は、全部わかるものです。あなたの違和感は、たいてい当たっています。
そして。信頼や誠実さは、片方だけがどれだけ頑張って積み重ねても意味がありません。わたしはそれを、このあと、改めて思い知ることになります。
寝かしつけのあと、話し合いは再開しました。「30分だけ」という期限付きで。——その30分が、わたしの人生でいちばん長く苦しい夜の始まりでした。