サレ妻大離婚記 第15話
実録ごめんの一言が

前回、わたしは子どもを連れて家を出ました。
夫は一度、新山さんとの関係を認めたも同然の発言をしました。しかしその後一転して、不貞はないと言い始め、わたしの両親の前でも「そういう相手はいません」と言い切り、そのままの別居となりました。
「別居」と書くと、もう関係が終わったかのように聞こえるかもしれません。でもわたしのなかでは、まだ何も終わっていませんでした。この別居は、一旦距離を置いてまた冷静に話し合うためのものでした。少し前に衝突したときに書いていた離婚届も、破棄しようと言い合って離れました。
ほしかったのは「ごめん」だけ
わたしの望みは、ひとつだけでした。
不貞を許す、許さないというよりも、不貞のために子どもとの暮らしを犠牲にして、隠すために仕事を盾にして、そしてわたしを責め続けたという事実、それをきちんと認めてほしい。そして心から謝ってくれたら、そのあとは、これからどうするかの話だけをしようと決めていました。
だから実家に帰ってからも、夫とは毎日連絡を取っていました。夫の元に残してきたねこの写真を送ってもらったりしながら、新山さんのことも話していました。
「ふーん。そうですか」
別居することになった日、わたしは新山さんにSNSアカウントを通じてメッセージを送りました。まず挨拶が遅くなったことへのお詫びを、そしてその上で、既婚者である夫との距離感や言葉使い、マナーなどを社会人として大切にしてほしいということを、努めて丁寧に伝えました。
同日、忘れ物を取りに一度家へ戻りました。鍵を開けても内側のドアロックがかかっていて、インターホンを押しても誰も出ません。電話をかけ、ドアの隙間から呼ぶと、数分してから夫が降りてきました。寝ていた、と言いながら。
新山さんに丁寧に詫びと苦言を伝えたことを話すと、夫はさも興味なさそうに言いました。

新山さんからの返事は来ず、その夜ブロックされていました。
口だけの約束
電話やLINEで、夫といくつか約束をしました。新山さんにはスタッフを辞めてもらうこと。彼女からわたしに、きちんと返事をさせること。
でも、何ひとつ実行されませんでした。何度状況を尋ねても「今日は時間がない」「明日言う」「また今度」 そういう言葉を聞くたびに、やっぱりか、と失望した気持ちになっていきました。
そして結局、

辞められたら困るから、と。約束はなかったことに。
新山さんとは、別居してからは会っていない、オンラインで作業を頼んでいるだけだ、とも言っていました。それなのに、必要なものを取りに行った際、家の玄関内に彼女の自転車が置いてあるのを見ました。ふたりは確実に会っているし、何ならこの家に出入りしているかもしれない。嫌悪感でおかしくなりそうでした。
でも、私は夫を追求しませんでした。その代わり、ひとつひとつの違和感を詳細に記録していったのです。
とにかく記録を積み上げる
この人には、本人に向かって何を言っても話が前に進まない。支離滅裂な言い訳を平然と重ねて、都合よく主張を変え、悪びれることもなく、こちらに責任を移してくる。まっすぐ訴えるほど、こちらが「おかしい人」にされていく。
なら、やり方を変えるしかない。
言い逃れのできない、客観的な証拠を揃えて、それをもって話をする。感情でぶつかることはせず、事実で示す。わたしは興信所に相談し、知人の力も借りて、そして自分でも、集められる記録をひとつずつ集め始めました。
ここから、長い証拠集めの日々が始まります。
記録は、あなたを守る(同じような状況の人へ)
まっすぐ気持ちをぶつけても通じない相手がいます。そういうとき、あなたを守ってくれるのは感情ではなく記録です。日付のある事実は、あとになって必ずあなたの側に立ってくれます。
長くて苦しい日々の話を、少しずつ書いていきます。