サレ妻大離婚記 第14話

実録

家を出た日

前回、夫は「最終的には家族のもとに戻る」と、不貞を認めたも同然のことを口にしました。

もはや疑いの余地はなく、確かめる段階は終わったと思っていました。それなのに朝になると、夫はまるであの言葉が幻だったかのように、再び「おかしいのはお前だ」と繰り返しました。そして、LINEを見せることを頑なに拒み続けました。

「これが証拠だよ」

わたし
LINE見せてよ
元夫
だから……うん
わたし
新山さんとの関係性がわかる証拠、見せてくれるんでしょ
元夫
これが証拠だよ!
わたし
どれが?!
元夫
はぁ……今日だって出かけてもないし仕事も何もやってないだろ! 今後は彼女にはオンラインで参加してもらう、必要最低限で

今そんな話はしてないのよ。

LINE

わたし
二人のLINEを見せて
元夫
見せない
わたし
見せないんじゃなくて見せられないんでしょ。なんで見せてくれないのか理由を言ってよ
元夫
これ以上付き合いきれないわ
わたし
なんでLINE見せてくれないの! それだけ教えてよ!
元夫
いいか! ここで見て、何もなかったとする! それで何か得るものがあるか?!
わたし
安心するじゃん! 安心できるLINEじゃないんでしょ!
元夫
じゃあ、俺のLINEを見て安心してこの家から去るわけだね?! 見た瞬間、もう去らせる!
わたし
意味わからない! 勝手に決めないで!
元夫
なぜかっていうと、俺が生きている限りあなたは同じことを繰り返す! 怪しいと思うたびに、何かあるたびに!

突き飛ばされて

わたし
誰のせいでこうなってると思ってんの!

たまらず、夫のスマホに手を伸ばしました。次の瞬間、両腕をつかまれ後ろに強く突き飛ばされて、わたしは倒れました。

わたし
痛…!
元夫
人の物勝手に触ろうとして、警察呼ぶぞ?! 突っかかってきたのはそっちだからな?!

夫は、自分に非はないと強調しながら、ふたたび、わたしを狂ってると責め立てました。そして、わたしの母に電話をかけました。

元夫
……僕のほうではちょっと対応しきれなくて

「一緒にあやして」

別室で寝ていた子どもが、泣き出しました。

元夫
あぁ、ごめんね、ごめんごめん。……俺も偽善者ぶりたくないからさ。だから、一緒にあやして?
わたし
何それ。一緒にあやしてって。たまにはあなたがあやしたら?
元夫
わかった。はいはい、ごめんね
わたし
思ってもないこと言わないで。いいとこ取りばかりして。たまに帰ってきて、たまに顔を見るだけでしょ。こっちは毎日、四六時中あやしてるから
元夫
ごめんね、四六時中いなくて
わたし
その間になんであなたは女の人と焼肉やお寿司を食べて昼からお酒飲んでるのってことなのよ! 早く帰ってきてって言ってるのに、なんでそんなことができるの!!

パスタ

第6話で書きましたが、家でわたしがパスタを茹でて一緒に食べたのに、夫はそのすぐあと新山さんとサイゼリヤでパスタを食べていた、ということがありました。

わたし
新山さんとランチの約束してるのに、なんでわたしにパスタなんか茹でさせるの! あなたが外で食べるならわたしはわざわざパスタなんか茹でない!
元夫
まだ食べてないって言ってたんだよ!
わたし
は?
元夫
“相手”が、まだ昼を食べてないって言うから!
わたし
じゃあ食べて来いって言えばいいでしょ!

両親の前で

しばらくして、両親が来てくれました。少し落ち着きかけていたわたしは、血の気の引いた様子で飛んできてくれた両親の顔を見て、また泣き崩れました。

両親は、こんな状況でも、わたしたちの今後のことまで気にかけてくれていました。夫を責めることも怒鳴ることもなく、ただ冷静に対応してくれました。

毎日O市へ通っていたことについて、母が夫に、そんな仕事があるのかと聞きました。

元夫
創業期で多忙を極めていて、スタッフにかなり頑張ってもらっていたので送迎をしていました

それから父が夫に、“そういう”相手がいるのかと聞きました。

元夫
いいえ、いません

父から、これまでも、これからもないんだな?と念を押されると、

元夫
はい、ありません

わたしの両親に、平気な顔で大嘘をついていました。

さよならも言わずに

わたしは、ひとまず子どもを連れて実家に帰ることにしました。

玄関に置かれた、荷造りされたバッグと小さな子ども靴。朝の光。

荷物をまとめる間、前夜のことを受けて、子どもに虐待がないかなどの確認をするために夫が警察へ呼ばれました。戻ってくると、子どもの相手をしながらわたしの両親に笑顔で話しかけました。

元夫
この子、最近このおもちゃが大好きなんですよー!

この状況でそんな振る舞いができる夫を見て、改めて恐ろしく感じました。

家を出るとき、夫は一応見送りにきました。しかし、夫の顔を見ると、冷めた目で睨みつけるようにわたしを見ていました。そして両親に向かって言いました。

元夫
じゃ、お願いします

わたしに言葉をかけることもなく、子どもの顔を見ることもなく、両親への詫びも礼もなく。——そうして、わたしは子どもと家を出ました。

不貞の発覚からここまで。長い一幕が静かに終わりました。

あなたは逃げるんじゃない(同じような状況の人へ)

後日、突き飛ばされたことを警察に相談しました。DVとして逮捕することもできると言われましたが、記録を残してもらうにとどめました。その際、当分は単独で夫と会わないように、わたしの位置情報も知られないように、と言われました。数日たって、腕や脚にあざが出てきました。写真も残しています。

もし今、あなたが同じような場所にいるなら、覚えておいてほしいことがあります。

  • つかまれる、突き飛ばされる、物を投げられる。それは「夫婦喧嘩」ではなく、DVです。 あざは数日後に出ることもあります。日付とともに写真を残してください。
  • 別居は、逃げではありません。 自分と子どもの心と体を守るための、正当な選択です。
  • 離婚・別居・慰謝料・親権のことは、多くの弁護士事務所が無料相談を受け付けています。ひとりで抱え込まず、一度、専門家に話すだけでも、見え方が変わります。

この日からわたしの戦いが始まりました。次の章は証拠集め。否定しようのない“確証”を掴むために——長くて苦しい日々でした。少しずつ書いていきたいと思います。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

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