サレ妻大離婚記 第16話

実録

かばっているのは

前回、わたしたちはついに別居をすることになりました。

わたしは感情でぶつからず、それとなく泳がせながら尻尾を出すのを待ち、とにかく記録を集めることを決意しました。この人には、まっすぐ話してもまったく通じないからです。それは別居数日後の電話でも思い知らされます。

「読んでない。ブロックしていいですか、って」

わたしは何度も夫に頼んでいました。新山さんにスタッフを辞めてもらうことと、わたしが送ったメッセージに、彼女からきちんと返事をすることを。

その日の電話でも、夫は苛立ちをあらわにしながら渋々それを約束しました。

わたし
新山さん、わたしのメッセージのこと何か言ってた?
元夫
何も
わたし
ブロックしといてそんなわけないでしょ。あなたも読んだでしょ?
元夫
読んでない。けど、いきなり長文が来たから、ブロックしていいですか、って

読んでるな。

「自分の顔を鏡で見たほうがよかったよ」

わたしは、あえて丁寧に、間接的に、もし新山さんに良心があれば身を引きやすいような書き方をしました。それに対する答えがブロック。

わたし
奥さんから長文来たんでブロックしましたーなんて、単なる雇い主とスタッフの会話として明らかにおかしいよね?
元夫
そういうオーラが出てたんじゃない? 会いに来た時本当にすごい顔してたから、自分の顔を鏡で見たほうがよかったよ。それであんな面倒なことを言われたら誰だってブロックするわ! 普通、怖いだろ!

しっかりと読んでるじゃないか。

わたし
そもそもあなただって、差し入れを持って挨拶にきた(第10話)自分の妻のことをそんなふうに言われたら、普通怒るとこでしょ。これでわたしを悪者にしてるのは“普通の関係じゃないです”って言っているようなもんだよ
元夫
確かに、あいつは危ういよ! 礼儀のなっていないところは認める! でも、まだ子どもなんだよ! 世の中のことがよくわかっていないんだ!

夫はあの手この手で彼女のことをかばいます。

「引き継ぐ余裕なんかない」

わたし
そんなに大事な事業なのに、どうしてそんなに危うい子をそこまでして雇い続けるの? ほかにやりたい人だっているでしょ
元夫
俺だって、できることならちゃんとした人を雇いたいよ! でも、今の業務を把握しているのはあいつで、よく動いてくれる。ほかを探して引き継ぐ余裕なんか、ないんだ!

わたしと子どもとの暮らしを削って通っていた「大変な仕事」がこの有様。

いちばん、こたえた言葉

もう、限界でした。わたしは乾いた声で言いました。

わたし
ごめんね。あの夜結局家に帰ってしまって。あのままわたしがいなくなっていたら、こんなふうに文句を言われることもなく、思う存分ふたりで働けたのにね

嫌味のつもりでした。でも半分は、本当にそう感じていました。

元夫
妻がいなくなった原因になった人間なんか、気持ち悪くて雇い続けるか!

そこはかばわないんかい。

最後まで、夫が守っていたのは、わたしでもなければ、新山さんでもありませんでした。自分。だから、もう本人に訴えるのはやめました。言葉ではなく、記録=事実で示す。それしかないと思った電話でした。

あなたは、おかしくない(同じような状況の人へ)

まっすぐ気持ちを伝えるほど、「おかしいのはお前だ」と言われる。責められ続けると、だんだん自分の感覚のほうを疑うようになります。でも、それは相手の手口であって、あなたのせいではありません。

  • 追い詰められているなら、ひとりで抱えないでください。 よりそいホットライン(0120-279-338)は、24時間、無料で話を聞いてくれるそうです。
  • 配偶者からの暴言や支配も、配偶者暴力相談支援センター(DV相談ナビ=#8008)で相談できます。

長くて苦しい日々でした。その時のことを、わたし自身の気持ちの整理の為にも少しずつ書いていきます。 よかったらお付き合いください。

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