サレ妻大離婚記 第20話
実録遠い街で

前回は、位置情報をたどって、夫の一日を追いかけた話でした。
今回は、それから少し経った頃のこと。わたしは、別居してからも夫が新山さんと会っていると確信していましたが、遠方の実家にいるため確かめることができずにいました。でも、それを確認してくれた人がいました。
遠い街へ
別居して一週間ほど経った頃。夫が、車検に出していた車を引き取りに隣県の街まで行く日がありました。
わたしが「気分転換に一緒に行きたい」と言ってみると、夫は「仕事の大事な話があるから」とひとりで行くと言って譲りませんでした。
その街には、夫とわたしの共通の友人夫妻が住んでいます。その友人に事情を打ち明けると、相談に乗ってもらえることになりました。夫がその街へ行く日に合わせて、わたしはその友人宅へ向かいました。話を聞いた友人は「実際に様子を確かめてくる」と言って、わたしを家に残し、偶然を装って夫に会いに行ってくれました。
カフェで
友人夫妻が見つけた夫は、予想通り、ひとりではありませんでした。
隣には、別居後はオンライン作業だけでもう会っていないはずの新山さん。驚きは全くありません。
黒い上着を着た彼女と共に車屋で車の引き取りを終えた夫は、そのまま近くのカフェへ。20万円以上の車検の支払いには、わたしの家族カードを利用していました。
友人が声をかけようと近付くと、夫は一瞬、気づかないふりをしようとしたそうです。そわそわと新山さんを隠すように立ち上がったかと思ったら、急に開き直って、彼女を「会社のスタッフなんです」と紹介した。そして夫は、新山さんにはこう言ったらしい。

確かに、以前泊まりで県外へ出かけた帰りに友人所有の場所に立ち寄ったと聞いていた。夫ひとりでの出張だったはずだけど。
友人の夫は、車で待っていました。仕事中だろうからまた今度、と友人が言うと、夫は、

そう言って、新山さんに断りを入れることもなく彼女をその場に残して、自分だけ駐車場へついてきたそうです。
「おかしくなってる」
駐車場で友人の夫も交えて少し仕事の話をしたあと、友人がわたしのことを尋ねました。メイちゃん、元気にしてる?と。
夫は、こう答えたそうです。

その“浮気相手”を、すぐそこのベンチで待たせながら、平然とわたしのことを“おかしくなってる”と言う。さも別居の原因がわたしであるかのように。
友人が「産後はとにかく大変だからね」と返すと、夫は、

手の傷
さらに夫は、自分の手の傷を、嬉々として友人に見せようとしたそうです。

それは、少し前にわたしとの喧嘩で(コンクリではなく…)家の壁を殴ったことで剥離骨折をして、手術したときの傷でした。嬉しそうに話す夫に、友人は「怖いから、いい」と断ったそうです。
帰ってきた友人は、わたしにこう話しました。あれはどう見ても仕事の関係じゃない。新山さんのほうも、見られた、まずい、という感じで、明らかに焦っていた——と。
見ていてくれた人(同じような状況の人へ)
わたしにはできなかったことを、友人が確かめてくれました。夫は、その友人がわたしの協力者だとも気づかないまま、「妻がおかしくなっている」という物語を、悪びれもせず演じた。友人は、その一部始終をわたしにすべて教えてくれました。
ひとりでは確かめようのないことは、信頼できる人の力を借りて確かめました。嘘をひとつ崩して、記録をひとつ増やす。その積み重ねが、あとになって確かにわたしの力になってくれました。
もし今、あなたが何も確かめられずに苦しんでいるなら、誰か信頼できる人を頼ってみてください。客観的な意見も聞けるし、思わぬ証拠が手に入るかもしれません。
このあと、夫との連絡は、さらにおかしな方向へ進んでいきます。次回、あの約束はどうなったのか。