サレ妻大離婚記 第22話

実録

妄想はやめてほしい

前回、新山さんにスタッフを辞めてもらう話を今日明日にはするという話のはずだったのに、いつの間にか彼女は「会社に必要不可欠な人材」へ変わり、わたしのほうが「社外の面倒なことを言う人」として責められていました。

その夜から翌日にかけてのやりとりは、いま読み返してもぞっとします。何を言っても、言葉尻をとり論点をずらすことで、自分の非から話題を逸らし、逆にわたしを責める。夫の常套手段・ガスライティングが、これでもかというほどに詰まっているからです。

「返事をさせて」

わたしは、別居することになった日に、新山さん本人にSNSでメッセージを送っていました。けれど、それは既読無視され、そのままブロックされていました。

わたし
わたしが新山さんに送ったメッセージへの返事の件は、どうなったの?
わたし
雇用主の妻からのメッセージを無視して、いきなりブロックするのは失礼だから、あなた経由で返事をさせる。そういう話になってたよね
わたし
今週中って言ってたよね。守って
元夫
たしかに今週中とは言いましたが、不可能になりそうです

また、反故に。驚きもありません。

わたし
なんで? わたしたちのこのやりとりの文面を、コピペして送ればいいだけじゃん
わたし
新山さんを守ってあげたいのはわかる。でも、今時点ではあなたの妻はわたしでしょ。納得できる説明も誠実な態度もないまま約束を反故にされ続けたら、わたしは黙って見てないから
わたし
わたしと子どもにどんな思いをさせてるか、考えたことある?

返事は、ありませんでした。妻のメッセージを無視してブロックした彼女を、夫は、ただ庇い続けました。

「妄想はやめてほしい」

わたしは夫に言葉をぶつけました。こんなことを言っても夫には何も響かないし何の意味もないとわかっていながらも、止められなかった。

翌朝。返ってきた、最初の一言は、これでした。

元夫
妄想は、やめてほしい

明らかに不自然な現状の中でわたしが感じていることは、たった一言「妄想」で片づけられました。

わたし
納得のいく説明をしてほしい。常識がなく、まともなスタッフではないと認めておきながら、契約は続ける。妻に対して失礼なことをしても、諌めるどころか、わたしの頭がおかしいことにして彼女を庇う。この状況の説明を。
元夫
新山は会社に必要なスタッフで、正直無茶ぶりも多く、向こうにとっては興味もないハードな仕事をしてもらってるのが現状。そこで、会社外の人からマナーだなんだと言われたら辞める可能性もある。そちらとしては辞めてくれた方が好都合なんだろうが、こっちはまわらなくなる。

「自分の表情を見るべきでした」

わたしは以前、新山さんに会う為に、差し入れを持って夫の職場へ挨拶に行きました。

わたし
会社外の人、ね。そこばかり言うけど、新山さんわたしのこと、何しにきたの?とか顔怖かったー。と言ってたって、あなた言ってたよね。差し入れ持って挨拶に来た自分の妻のことを、そういう風に言われて不快にも思わず、何も言わないあなたは何なのって話なんだけど。物語ってるじゃん。
わたし
新山さんにとってあなたが本当にただの雇い主で、わたしがただのその妻なら、それは単に常識がないとかいうレベルじゃなく常軌を逸してるから辞めてもらうべきだよねって話だったよね?
わたし
社内にそんな人がいるって、新たに人を雇うことのリスクを上回ってない?それでも新山さんを庇う理由は?
元夫
あなたは自覚がないかもしれませんが、あの時自分の表情を見るべきでした

浮気相手が、妻に失礼だったことの理由は、わたしの“表情”のせいにされました。

わたし
わたし、彼女にはかなり丁寧に挨拶させてもらったよね。 ちなみに、あの時わたしマスクもしてたんだけどね。それに、もし本当にそうだったとしたら、その場でうまく取りなすのがあなたの役目なんじゃないの?
わたし
わたしと子どもは、何? 新山さんは、あなたにとってどれだけ大事な存在なの?

言えば言うほど、彼女が庇われる。話せば話すほど、わたしが、悪いことになる。

ねこを連れて行くのは「誘拐」

わたしは、夫のもとに残してきたねこを引き取りたいと伝えました。家を空けがちな夫のところで、毎日ひとりにさせているのがずっと気がかりだったからです。

わたし
ねこをこっちに連れてくること、同意してくれる? あとになって色々と言われたくないから
元夫
同意しません。なぜ連れて行くのですか
わたし
毎日ひとりで可哀想だよ。帰りも遅いみたいだし、泊まりもあるでしょ

仕事だかなんだか知らないけど。

元夫
勝手に連れて行くことは誘拐です。子どもも一緒です

ねこの話をしているのに、なぜか子どもが“連れ去られた”ことになる。

わたし
ねこはわたしの家族でもある。この状況がいつまで続くのか先が見えないなら、連れて帰らせてもらう
元夫
同じことを言うなら、子どもは私の家族でもあります。こちらで保育園に入れることも考えます

子どもは、わたしと一緒に実家に連れて帰っていました。その子どもを「こちらで保育園に」。つまり、わたしの元から取り上げるということ。ねこを引き取る話から、どうしてそうなるの?

「わからないなら、結構です」

わたし
勝手に連れて行ったわけじゃないですよね。実家に帰った日、あなたはわたしの両親に“お願いします”と言って見送ってる。あなたのご両親からも、わたしの両親に“こちらで見ることは難しいので、よろしくお願いします”と言われましたが。
元夫
しかし、今後についての話はされていません
わたし
言ってる意味がよくわからないんだけど
元夫
わからないなら、結構です

わからないのは、説明しないからです。そもそも単なる論点ずらしで意味はないので、説明も何もないんだけど。

何を言っても

その日、きちんと返ってきた答えはただのひとつもありませんでした。

浮気は「妄想」。相手の無礼はわたしの「表情」のせい。ねこを引き取りたいと言えば「誘拐」。そして最後には、子どもさえ駆け引きの道具にする。

何を言っても都合のいいように言葉が並べ替えられ、最後は決まってわたしがおかしいことになる。

このあともまだまだ、夫から意味不明な返信が返ってきます。次回に続きます。

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