サレ妻大離婚記 第17話

実録

つないだ電話

前回、夫が最後まで守っていたのは、わたしでも新山さんでもなく、自分自身でした。本人に訴えても通じない。だからわたしは、言葉ではなく事実を、ひとつずつ押さえていくことにしました。

その最初が、翌日のイベントでした。

送迎しない「証明」に

夫は毎日のように、新山さんを車で送り迎えしていました。そしてそれを、「大変な仕事」と称していました(第6話)。

翌日は朝から、夫の仕事関係のイベントがありました。夫の話では、わたしたちの別居後、新山さんはリモート勤務に切り替えたと言っていました。けれど、聞くとやはりイベントにはくるとのこと。

わたし
まさかもう送迎しないよね。大人なんだから必要ないし。行き帰り、わたしに電話してね。

夫はあからさまに理由をつけて嫌がりました。それでも、最後には渋々了承しました。

元夫
わかったよ。でもあいつにも役割があって、いなきゃ回らないんだ。でも迎えに行けないなら間に合う電車がないから、もう欠席させるしかない。

送迎しないと言いながら、彼女がいないと回らないのにと恨み言、そしてあてつけのように欠席させると言い出しました。

「こんな面倒なことを」

当日の朝、電話が鳴りました。開口一番、これです。

元夫
これから出発する。……まったく、こんな面倒なことを

面倒なのは、わたしのほうだと思いました。声はずっと刺々しくて、攻撃的でした。

途中、いつも寄るコンビニではなく、駅近くの別の店舗に寄ると言い出しました。わたしは、いつもの店に行くよう伝えました。駅で新山さんを拾おうとしていることが、手に取るようにわかったから。

そして、より不機嫌になった夫に、会場に着くまでの三十分以上ずっと責められ続けました。

「薬でも飲んで待ってろ」

責められ続けて、わたしはもう、限界でした。

わたし
もう何も考えたくない、消えてしまいたい
元夫
子どもがいるのにそういうことを言うな
わたし
帰りの電話ももういらない
元夫
かける。薬でも飲んで、待ってろ

「心配」ではありません。第12話のあの夜と、同じです。散々人を追い詰めておきながら、自分が悪者にならないように保険をかける。

それでも、記録は残る

ここに書くことは憚られるような、ひどい通話でした。わたしの心はぼろぼろで、その日はもう何もできませんでした。

でも、あとでわかるのです。電話も、刺々しい声も、通ったルートも——すべて記録になりました。追い詰められて潰れそうでも、事実だけは確かに積み上がっていきました。

崩れそうなわたしを支えていたのは、気の利いた言葉ではなく、その積み重ねでした。

あなたは、おかしくない(同じような状況の人へ)

追い詰められて「消えたい」と思ってしまうほど、自分は悪くないはずなのに自分を責めてしまいます。でも、あなたを追い詰めているのは、あなたの弱さではありません。

  • 「消えたい」と思うほどつらいときは、ひとりで抱えないでください。 よりそいホットライン(0120-279-338)は、24時間、無料で話を聞いてくれるそうです。
  • 配偶者からの暴言や支配も、配偶者暴力相談支援センター(DV相談ナビ=#8008)で相談できます。

わたし自身の気持ちの整理の為にも、まだまだ書いていきます。

記事一覧へ戻る